故障・修理
更新日:2019.09.29 / 掲載日:2019.09.29

20世紀の常識 vs 21世紀の新常識10「ダブルウィッシュボーン vs ハイマウント」

高い剛性と自由に動く ショックアブソーバー

 マクファーソンストラットが考案されるまでは、フロントサスペンションの主役はダブルウィッシュボーンだった。上下のアームが平行に動くため、バンプ、リバウンドしてもキャンバー変化が抑えられるという特徴がある。

 この特性を利用して積極的にジオメトリーを設定することもできた。たとえば上のアームを下のそれより短くすればバンプ時にはネガティブキャンバーとなる。また上下のアームが同じ長さでも、それぞれに角度を付けることによって、バンプ、リバウンド時のキャンバーは自由にコントロールできる。

 このように優れた特徴を持ったダブルウィッシュボーンだったが、部品点数が多い、ある程度の設置スペースが必要などのウイークポイントも抱えていた。このためマクファーソンストラットの登場によって駆逐されていく。

 消えたかに思えたダブルウィッシュボーンに再び日の光を当てたのがホンダだ。2代目プレリュードの開発に当たって、フロントノーズをより低くというデザイン部門の要求があった。それに応えたサスペンションがハイマウントアッパーアーム式ダブルウィッシュボーンだった。

 アームとダンパーが独立していて動きがスムーズ、さらにアームの角度設定でいかようにでもジオメトリー設定が可能という優れた特性を持っていた。さらにスペースも必要としない。

 この方式は次第に他のメーカーにも普及し、現在はヨーロッパの高級車、高性能車のフロントサスペンションの定番にもなっている。

古典的なダブルウィッシュボーンから新世代のダブルウィッシュボーンへ

ダブルウィッシュボーン
典型的なダブルウィッシュボーン。ジオメトリー設定の自由度が高く、しかも頑丈。マクファーソンストラットが考案される前はフロントサスペンションの主役だった。

1964年、ホンダが初めてF1に打って出たマシンRA271のフロントサスペンション。短いアッパーアームが上反角を持ち、バンプ時のネガティブキャンバーを狙っている。

ハイマウントダブル ウィッシュボーン
これがハイマウントアッパーアームの元祖。ホンダが2代目プレリュードのフロントサスペンションに採り入れたもの。キングピン角設定の自由度が高い優れたレイアウトだ。

ハイマウント式はアウディ、メルセデスなどのヨーロッパの高性能車にも採り入れられていった。コストの高い鍛造アームが使われるようになった。

日産が採用したのはマルチリンク。基本的にはハイマウントアッパーアーム式だが、ナックルから伸びるアームを第3のアームと捉えたためだ。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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