車検・点検・メンテナンス
更新日:2019.12.12 / 掲載日:2019.12.12

自動車用ガソリンの規格

 普通の自動車ユーザーは、ガソリンというとスタンドで給油するものしか馴染みがないだろう。しかし、ガソリンを広い意味でとらえると揮発性の高い液状の炭化水素を主成分とする石油製品ということになり、燃料以外でも洗浄や塗料用、ドライクリーニング用などの工業用ガソリンもある。またエンジン用でも、飛行機のレシプロエンジンに使用される航空ガソリンは自動車用とは異なる位置づけになっており、規格上も別になっている。
今回は、自動車用ガソリンの種類、品質規格などについて、紹介する。

 街のガソリンスタンドで給油しているのは、JIS規格上では「自動車用ガソリン」に規定されていて、オクタン価の違いによって1号のハイオクと2号のレギュラーの2種類とされている(欧米では3タイプあることが多い)。

■自動車用ガソリンとは?

 自動車用のガソリンは、原油の蒸留や分解から得られた100種以上の炭化水素の混合物だが、エンジンを正常に作動させるとともに、触媒装置や人体に有害な排ガスを発生させないようにしたり、燃料系パーツの腐食を起こさないようにするため各種の品質規格があり、これに適合しないガソリンは、スタンドでは販売できないことになっている。なお、現状規格ではエタノールが3%以下に規定され、首都圏などで試験販売中のバイオエタノール(ETBE)入りガソリンで8%以下(エタノール相当で3%)となっている。これは、アルコール燃料未対応車の燃料系統を腐食させないレベルにするためとされている。

■自動車用ガソリンに必要な品質規格

自動車用ガソリンには、国で定めた品質確保法があり、適合しないガソリンは、給油所での販売が禁止されている。ガソリン中に検出される成分の制限は時代ごとの変遷もあり、昔のガソリンは四エチル鉛が入った「有鉛」だったが、触媒を損傷するため無鉛化が行われた。灯油は混入量が多いとオクタン価が低下して、エンジン破損の原因となる。ガム分は、ガソリンを蒸発させたときに残留する成分で吸気バルブへのデポジット堆積の原因となる。

項目中の蒸留性状は、多成分でできているガソリンの性状を表すもの。減失量加算では、T10、T50、T90とあるが、Tは温度で規定の温度にしたときに蒸発する体積を示している。つまり、T50の75~110℃以下というのは、この温度で蒸発する量が50%ということ。そして、終点220℃以下で全て蒸発し、残留物が2%になる性質と規定されていると読み取れる。

■自動車用ガソリンの性質でエンジンの性能も変わる

(1)オクタン価

ガソリンの種類でよく耳にするのがオクタン価。これは、エンジンのノッキングを防ぐ性能を示すもので、耐ノック性が高いイソオクタンのオクタン価を100、耐ノック性が低いヘプタンのオクタン価をゼロとして、2種の混合物中のイソオクタンの割合をオクタン価としている。オクタン価90のガソリンなら、イソオクタンとヘプタンの混合比は9:1のと同じである。

(2)蒸気圧

規定の温度(37.8℃)での液体と気体の平衡状態を圧力で示したもの。乱暴な言い方をすると蒸発性の大小が分かる。季節や地域によって蒸気圧を調整して、始動時の運転性向上を図る。

(3)蒸留性状

季節や地域で変化する外気温に対応するため、石油メーカーでは蒸留性状を調整して、加速性などの運転性向上を図っている。

■実際の自動車用ガソリンの性状例 (ENEOS NEWヴィーゴ)

実際のハイオクガソリン例(※資料は2008年時のもの)。代表性状では夏と冬に分けられており、蒸留性状や蒸気圧、密度が微妙に変えられていることが分かる。ちなみに切り替え時期の目安は夏用が6~9月である。夏場の蒸気圧を抑えることは、キャブレターのパーコレーション(沸騰)や燃料系内のベーパー発生を防止することにつながる。エンジンにもよるが、敏感な人であれば、切り替え時のガソリンの違いを始動性の違いなどで感じるかもしれない。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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