故障・修理
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2020.01.08

クルマを真っ直ぐ心地よく走らせる基礎メカニズム Part.2-6

CASE STUDY 2

問題なく走るが、偏心カムの左右位相がバラバラ マツダ ロードスター (2002年 走行8万km)

新車購入後から筑波サーキットを主戦場とするロードスターのワンメイクレースに参戦。過去練習中にコンクリートウォールに正面から突っ込み無残な姿になったが修理で復活。以前と変わらぬ走りを取り戻している!?





クラッシュ歴あり

新車時よりリヤの偏心カムはアンバランス

 時々本誌にも登場しているNB6型(2代目)のマツダロードスター。サンデーレーサー向けのワンメイクレース仕様車で、10年以上サーキット走行を楽しんでいる。ショックアブソーバーやスプリングはノーマルに近い仕様だが、ホイールアライメントはリヤのキャンバーをネガティブにセットし、サーキットでのグリップを高めるようにセットされている。オーナーもホイールアライメント調整の重要性を理解していて、年に1回は測定あるいは調整を行っている。ロードスターは、フロントのトー、キャンバー、キャスター、リヤはトーとキャンバーが調整できるが、新車時よりリヤの左右アームで偏心カムの位相が異なっていた。また、昨年サーキットでクラッシュしフロントを中破したため100万円コースの修理を受けた。普段走りの不具合はないが、サーキット走行で左コーナーのグリップ不足とブレーキング時のリヤの蛇行を感じることもある。ドライバーのセンスの問題もあり、何が悪いかは分かってはいない。

発見その1 左右アームの偏心カム位相が違う
左リヤ後ろ リヤカムの1目盛りはトーで約2.3mm、キャンバーで約8分の変化量。

右リヤ後ろ 調整部を外れた位置にセットされた右リヤ後ろのカム。レース参戦ショップが調整したが……。

発見その2 一つの調整ボルトの前後でカム位相が違う
右リヤ後ろの前側カムは正常な調整範囲にあるが後ろ側と位置が違うのがおかしい。

右リヤ後ろのカムは調整域オーバーで前側と位置が違う。

診断前の状態チェック

●リヤの偏心カムは新車時より左右差が大きかった
●サーキット走行が多く、ホイールアライメント調整回数は多い
●日常走行では特に問題なし
●一度大きなクラッシュをしている
●サーキット走行で左コーナーでのリヤグリップが低く感じる

異常な向きの偏心カムを外してみる

カムの状況確認。メンバーに食い込んだようになっていて、外すのに相当苦労した。

上の写真はカムを外したところで、調整部はこのような横方向の長穴になっていてブッシュの中心位置をずらすものだ。

使用済みカムと新品との比較

使用済みカム。カムの新旧を比べるまでもないが、使用済みカムはボルト穴にあった突起部が削れてしまい、ボルトへの噛み合いができなくなっている。

新品のカム。突起があり、ボルトの溝に噛み合っている。

カム位置の違いはボルトの傾きになる

カムが傷んでいるので新品のボルトとカムを購入した。カムがずれてしまうとボルトが斜めになってしまう。

本来のセット状態。本来はボルトと前後のカム(上は目盛り面が見えるようナット側に2枚装着)の位相は一致する。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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