パーツ取付・交換
更新日:2020.10.19 / 掲載日:2020.10.19

車の水温計はエンジンの温度がわかる重要な機械!主な役割を詳しく解説

車の水温計はエンジンの温度がわかる重要な機械!主な役割を詳しく解説

車に搭載されている水温計は、エンジンの温度を正常に保つためにも重要な部品です。
ドライバーのなかにはガソリンメーター、タコメーター、スピードメーターに注目しても、水温計は気にしていないという方が多いかもしれません。

しかし、水温計を日頃から確認し、冷却水が正常な温度なのかをチェックしないでいると、エンジンが高温になっているのを放置してしまい、オーバーヒートやエンジンの焼き付きといったトラブルが発生してしまいます。
そこで、この記事では車の水温計の役割、水温計が異常を示したときの対処法と注意点、追加の水温計を付ける理由や手順について解説します。

これからの季節は、エンジンが高温になりやすいため、水温計の重要性を理解し、いざというときに対応できるようにしておきましょう。

車の水温計とは?

車の水温計は、エンジンの温度を適切な温度に保つための大事なパーツです。
水冷式の車の場合、エンジンを冷やすために冷却水がエンジンの周りを循環しています。
車の水温計は、その冷却水の温度を計測するパーツです。
車に標準で搭載されている水温計は、細かい温度が表示されるものではなく、冷却水の温度が高い状態を表すHと、温度が低い状態を表すCの表示がついている簡易的なタイプになります。

エンジンを冷やすための冷却水の温度は、エンジンの故障を防ぐのに非常に重要で、適正な温度は車種によっても異なりますが、約70度~95度です。冷却水を適正な温度に保てなくなると、エンジンのオーバーヒートや不調が起こりやすくなってしまいます。
そのため、水温計はエンジンがオーバーヒートしないよう、温度を適正に管理するために取り付けられているのです。

また、過度に水温が高くなってしまった場合や、低くなった場合には運転席にあるインストルメントパネルの警告灯が点くようになっています。
つまり、水温の影響によって重大な故障が起こる前に、ドライバーへサインを送ってくれる大事な部品です。

水温計と冷却水の関係

水温計と冷却水には、密接な関係があります。
冷却水は、エンジン周りに循環させて、エンジンの熱を取る働きがありますが、熱を吸収できなくなり、冷却水の水温が上がってしまうと、水温計の警告灯など異常を知らせるサインを示します。警告灯が点いてしまう原因はいくつかありますが、基本的に冷却水に関するトラブルが非常に多くなっているのです。

例えば、冷却水が基準量に満たない場合には、エンジンの熱を吸収しきれないだけではなく、水温計の温度が正確に表示されないこともあり、部品故障などのトラブルの原因にもなるでしょう。
また、冷却水を循環させるためのラジエーターが故障して、動作不良を起こしてしまうと、エンジンを冷やす冷却水を循環できないため、オーバーヒートなどの重大なトラブルにもつながります。

このように、水温計と冷却水は密接な関係があるため、水温計の故障、冷却水の不足など、どちらかでも正常な状態でなくなると、重大なエンジントラブルになるので注意が必要です。
重大なトラブルを避けるためにも、日頃からボンネット内部のリザーバータンクを確認し、冷却水が規定量に足りているかどうかをチェックするようにしてください。

水温計が100度を超えるとどうなる?

水温計には具体的な温度が表示されていませんが、水温計がHを指すと、冷却水の温度は120度であるといわれています。
万が一、車の走行中に水温計がHを指し、冷却水の水温が100度を超えるとどうなってしまうのでしょうか。

車のエンジンを冷やすために循環する冷却水の沸点は、種類によっても異なりますが、およそ120度~130度です。
つまり、水温計がHを指している場合、沸点に到達してしまっているのです。
また、沸点に到達していない場合でも、冷却水の温度が100度以上になると、冷却水に気泡が発生してしまい、エンジンの熱を吸収できなくなり、オーバーヒートを引き起こしてしまいます。

オーバーヒートを起こしてしまうと、水温計に異常が出るだけでなく、異音、異臭がしたり、ボンネットから水蒸気が発生したりすることもあります。
さらに、その状態に対処しなければ、エンジンが焼き付いてしまい、エンジンそのものを壊してしまう可能性があるのです。

基本的に、水温計が正常な状態であれば、水温計の針が常にHを指すか、警告灯が点くので、重大なエンジントラブルになる前に対処しましょう。

水温計の警告灯が点いたときの対処法と注意点

水温計の警告灯が点いたときの対処法と注意点

水温計の警告灯が点いてしまった場合、冷却水がエンジンの熱を正常に吸収できず、エンジンが高温になっている可能性があります。
その場合、早急に対処しないとエンジンが故障して、高額の修理費がかかってしまうかもしれません。
しかし、警告灯が点いたときに、しっかりと対処できればエンジンへのダメージを減らせる可能性もあるのです。

そこで、以下では水温計の警告灯が点いたときの対処法と注意点を解説します。

すぐに車を停めて、エンジンを冷やす

水温計の警告灯が点いた場合、すぐに車を停めて、エンジンを冷やすことに専念してください。しかし、すぐにエンジンを切ってしまうと、冷却水の循環が止まってしまい、エンジンがさらに高温になり、焼き付く可能性があるので注意が必要です。

警告灯が点いたらまず、車をできるだけ日陰に停めて、ボンネットを開けながら冷やしましょう。ボンネットを開けると、外気が直接エンジンに当たるため、エンジンを冷やすのに効果的です。
しかし、ボンネットを開ける前に、水蒸気が発生していないかを必ず確認してください。もし、水蒸気が発生している状態でボンネットを開けてしまうと、高温なので非常に危険です。

また、水があるなら、ラジエーターに直接水をかけて冷やすのもよいでしょう。
水をかけて冷やす場合は、エンジンに直接水をかけないように注意が必要です。エンジンにいきなり冷たい水をかけてしまうと、熱膨張を一気に冷まし、亀裂が発生する原因になります。

最後に、水温が高い状態でラジエーターのキャップは絶対に開けてはいけません。キャップを開けてしまうと、ラジエーター内部の水蒸気が吹き上がるので注意してください。

応急処置をしたら点検を依頼する

走行中に水温計の警告灯が点いたら、上記の作業を行ないますが、その後の対応も非常に重要になります。
水温が上昇してしまった場合、その場限りのトラブルではなく、ラジエーター関係の部品や冷却水に異常があるかもしれません。
そのため、一時的に水温が下がったとしても、ディーラーや整備工場で必ず点検を受けるようにしてください。

また、一時的に温度を下げることができたとしても、そのまま走行してしまうと、再び警告灯が点いてエンジンがオーバーヒートしてしまう可能性も考えられます。さらに、高温状態で走り続けてしまうと、エンジンの重大な故障につながるだけではなく、黒煙が上がり、炎上する危険性もあるのです。

そのような状態になると、二次災害の危険性が高まるのはもちろんですが、修理すらできず、車を買い換える必要もでてくるでしょう。
もし、警告灯が点いて温度が下がったとしても、すぐに走行するのは避けて、応急処置を行なったら、早急にディーラーや整備工場で点検を受けるようにしてください。

水温計の警告灯に気が付かないと危険

水温計は、エンジンの熱を吸収する冷却水の温度を表す計器なので、警告灯に気が付かないと、さまざまなトラブルを引き起こします。
例えば、水温計の針がHを指し続けて、警告灯が点いているのに気が付かなかった場合、エンジンがオーバーヒートするだけではなく、エンジンが焼き付いて修理費用が高額になりがちです。エンジンが焼き付いてしまうと、車種によっても異なりますが、修理に100万円以上もかかってしまうこともあります。
さらに、最悪な状態になると、エンジンから黒煙が上がり、修理不能になってしまう可能性もあるでしょう。

また、エンジンが冷えすぎている場合にもオーバークールと呼ばれる症状が発生してしまいます。
走行してても、水温計の針がCから上がらない場合には注意が必要です。
オーバークールが発生してしまうと、水温を早く上げようと機械が制御してしまい、燃料の濃度を高くし、プラグを痛める可能性があります。
さらに、エンジンの温度が低いと、エンジンオイルの油圧も上がらないため、エンジン内部のピストンやシリンダーに不具合が生じ危険です。

車に追加の水温計をつけて温度管理

車に追加の水温計をつけて温度管理

基本的に、車に標準装備されている水温計は、HとCの間を上下するだけの簡単な計器です。そのため、実際に冷却水の温度が何度になっているのかがわかりません。
こういう場合、追加の水温計をつけて、正確に温度管理する方法もあります。
正確な温度を知ることができれば、オーバーヒートなどのエンジントラブルも未然に防げるでしょう。

以下では、追加の水温計を付ける理由や手順、その費用について解説します。

追加の水温計を付ける理由

スポーツカーのようにエンジンを高回転で回す車の場合、水温が上がりやすい傾向があるため、正確な温度を知って、温度管理するのがおすすめです。
また、ビンテージなど古い車種は、水冷装置が備わっていないので、あとから水冷装置を付ける場合があります。その際にも追加の水温計が必要です。
必ずしも、追加の水温計が必要になるわけではありませんが、車種や状況に合わせて追加の水温計を取り付けてみましょう。

水温計を付ける手順

追加の水温計の取り付けは比較的簡単な部類に入りますが、素人には難しいので、取り付けに不安がある方は、整備士やプロの相談するようにしてください。
水温計の取り付け方法は以下のとおりです。

1. 水温センサーをアダプターに取り付け
2. 冷却水タンクの取り外し
3. ラジエーターホースを切断してアダプターを割り込ませる
4. 配線を通して水温計につなげる
5. 冷却水タンクの取り付け
6. 冷却水の補充
7. 冷却水のエア抜き

以上で、水温計の取り付けは完了です。

特に、作業後は必ずエア抜きを忘れないようにしてください。
冷却水にエアが残っていると、冷却水が正常にエンジンの熱を吸収できなくなってしまいます。
難しい作業ではありませんが、車種によっても手順が異なるので気を付けてください。

また、車種によっては、エンジンの運転制御を行なうECU(エンジンコントロールユニット)から、水温センサーの信号を読み取れるタイプもあるので、購入前に確認しましょう。

水温計を追加するのにかかる費用

水温計を追加する際には、部品代が4,000円~2万円程度かかります。
取り付けをディーラーや整備工場に依頼する場合は、工賃として1万円~2万円程度かかるので、合計で4,5万円かかるでしょう。
また、ディーラーや整備工場に水温計の追加を依頼すると、冷却水の部品代や交換工賃もかかる場合があるので注意してください。

もし、工賃を節約したいのであれば、自分で取り付けるのがおすすめです。
作業自体は難しいものではないので、整備に不安がなければ、自分で取り付けてみてください。

また最近では、車の故障診断用コネクターに装着するだけで、水温計、タコメーター、ターボ計などの追加メーターが取り付けられる製品が販売されているので、そちらを取り付けるのが良いかもしれません。しかし、簡単に取り付けられるメーターは、対応車種が限られてくるため、愛車がそのメーターに対応しているか確認する必要があります。

まとめ

以上、今回は車に搭載されている水温計の役割、異常を示したときの対処法と注意点、追加の水温計を付ける理由や手順について解説しました。
車の水温計は、エンジンを冷やすために循環している冷却水の温度を知るために必要な重要な部品です。
そのため、エンジンに重大なトラブルが発生する前に、サインを送ってくれる役割があります。

標準の水温計はHとCの表示の簡易的なものですが、エンジンが正常な状態かどうかを判断するためにも、必要不可欠な計器です。
エンジンが高温になりすぎて危険な状態になった場合、警告灯を点け、ドライバーへサインを送ってくれるので、エンジンの重大な故障につながる前に防ぐことができるでしょう。

また、水温計の警告灯が点いてしまった場合は、エンジンを冷やすことに専念し、その後ディーラーや整備工場で整備を受けるようにしてください。
万が一、重大な故障につながってしまうと、高額な修理費がかかってしまいます。そのような事態に陥らないためにも、追加の水温計を取り付けて正確な温度を計測する手段もあるので、ぜひ検討してみてください。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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