故障・修理
更新日:2020.11.06 / 掲載日:2020.11.06
NISSANが生んだ革命児 K11 MARCH オーナーのメンテナンスポイント
近藤真彦さんをイメージキャラクターに据え、「マッチのマーチ」として初代マーチが誕生したのが1982年。その10年後となる1992年に今回の題材となるK11マーチは誕生した。
初代にはターボやスーパーターボ(スーパーチャージャーとターボのツイン過給エンジンを搭載)といった走りをイメージさせるグレードが追加されたが、K11は3代目にバトンタッチした2002年まで走り系の尖ったモデルが追加されることはなく、クルマ好きであっても多くの人はいわゆる日常での「お買い物クルマ」という認識が強かったはず。実際に大部分を占めたATやCVTモデルは、そういった用途に適した味付けがなされていたので、その認識が間違いというわけではない。
しかしMTモデル、中でも上級の1.3LのGC13を搭載する車両は、走り好きが乗ると思わず攻めた走りをしたくなる元気のよさを有していたのだ。いうならば2代目サニー(B110)のパワーはないが元気に回るパンチのあるA12型エンジンと、それを生かせる軽快なシャーシの組み合わせに相通じる楽しさを有していた。
そんなK11マーチの走りのよさを楽しむには、デビューから30年近くが経過した現在、しっかりとしたメンテナンスが必要となるはず。ここでは実際にFSWのスポーツ走行を楽しんでいるというK11を題材に、走りを楽しむためのメンテナンスをレポートしよう。
石川さんがこのK11に施したメンテナンスのひとつが、サスペンションのブッシュ交換。サーキット走行がメインとなる車両なので、使用するブッシュはNISMOの強化タイプを選択している。K11はフロントがストラット、リヤが5リンクとなるが、リヤはブッシュの数も多いので、交換するか否かで走行フィールも大きく変わるはずだ。
点火コイルが内蔵されるデスビは、マーチの定番トラブル箇所のひとつ。石川さんのマーチは今のところ問題はなく、デスビ本体のメンテは行っていないが、スパークプラグを冷え型の8番に変更している。
サーキットを楽しむとなると、へたったマウントのままではエンジンの揺れが大きく走行フィールに悪影響を及ぼす。それを嫌ってエンジンマウントも新品を導入。こちらもノーマルではなくNISMOの強化品だ。
高速サーキットとなるFSWレーシングコースを走るとなれば、ブレーキのメンテは必須。キャリパーやホイールシリンダーをオーバーホールし、パッドとライニングをBRIG製のサーキット用パッドに変更する。
「マーチらしい走りを楽しめるように、足回りを中心にメンテしました」
今回取材でお邪魔したのは、富士のレース村にあった名門レースガレージ、スリーテックで修業した石川さんが、独立して立ち上げた「パワーガレージ テスタロッサ」。テスタロッサでは、1000PS超のエンジンを搭載する車両を手掛ける他、昨今スリーテック時代に多数手掛けたS20やL型を搭載する旧車の入庫も多い。写真のGT-RのS20も石川さんが組み上げたものだ。