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故障・修理
更新日:2021.06.17 / 掲載日:2021.06.16

ABSはいつ使う?仕組みは?警告ランプが消えない原因と解除方法

ABSはいつ使う?仕組みは?警告ランプが消えない原因と解除方法

ABSは教習所でも習うものですが、仕組みや使うタイミングが分かっていない方も多いと思います。ABSは車の安定・安全性をサポートする機能の一つで、急ブレーキの際などに力を発揮する装置です。

この記事では、ABSの基本的な解説から、ABSの作動する仕組みや使うタイミング、警告ランプが点灯した際の対処法までを紹介します。

この機会にABSがどのような仕組みなのかを理解して、いざというときの備えにしてください。

ABSとは?

ABSとは、Antilock Brake System(アンチロック・ブレーキ・システム)の略称です。ABSという名が定着するまでは、アンチスキッドやアンチスピンブレーキなど、さまざまな呼び名もありました。現在もメーカーによっては、ABSではなく独自の名称で呼んでいるケースもあります。

ABSの役割は、名前に「A(アンチロック)B(ブレーキ)」とあるように、ブレーキでタイヤがロックされるのを回避することです。

ABSを作動させるには、「緊急時にブレーキを強く踏みつける」という動作が必要です。タイヤはロックすると制動距離が伸びてしまうという特性がありますが、それをロックしないように制御することで、車を安全かつ短距離で停止させるのです。

ABS機能は1980年代に登場し、当時は高級車を中心に採用されていました。しかし現在は、軽自動車にも標準採用されており、安全性の向上を支えています。

ABSに期待できる効果

ABSは、緊急時におけるブレーキの利きを調整し、車を制御できるようハンドルの操作性を維持する効果があります。具体的には以下の3つ効果があります。

・タイヤのロックを防ぎ、制動力を確保する
・タイヤのロックを防ぎ、ハンドル操作に応答するようにする
・タイヤのロックを防ぎ、スピンを抑制する

ABSを搭載していない車では、緊急時に急に強い力でブレーキをかけると、タイヤがロックしてしまい、ハンドルを操作しても車の向きを変えることができない、制動が効かない状態となります。この状態は車が不安定になり、路面を滑りながら移動してどこかに衝突するリスクが高まります。

また、ABSはトラクションコントロール(横滑り・空転を防ぐ装置)などに応用されることも多くあります。道路の状況が悪い場所でもトラクションコントロールがABSに働きかけることでタイヤの空転を制御し、安定した走行をサポートします。

他にもABSの仕組みを活かし、緊急時に限らずコーナーを曲がりやすくするなど、車の安定性向上に応用しているのも特徴の一つといえるでしょう。

ABSの仕組み

ABSは急ブレーキを踏めば必ず作動するわけではありません。ABSの仕組みは下記のとおり「ABSセンサー」と「ABSアクチュエーター」の機能で成り立っています。

ABSセンサー

車両が減速していくスピードやタイヤ回転数の測定

ABSアクチュエーター

ブレーキの油圧ポンプとバルブによる油圧のコントロール

「ABSセンサー」は、タイヤの車両に必要なブレーキ力を判定するために働き、回転数を測定することでタイヤがロックした状態なのか、そうでないかを判定しています。

「ABSアクチュエーター」は、ABSセンサーが発する信号をもとにブレーキの油圧を個別に制御し、停止するまで作動を繰り返します。

また、ABSは4つのブレーキを個別で制御可能です。人力で4つのブレーキをそれぞれコントロールすることはできないため、安全に最短距離で止まるためにABSは欠かせないシステムといえます。

なお、タイヤロックを回避するために小刻みにブレーキを踏み込む「ポンピングブレーキ」と呼ばれるブレーキング技術がありますが、これはABSの動作を妨げることにつながるのでやめましょう。ポンピングブレーキはあくまでもABS非搭載の車における運転テクニックと考えてください。

ABS作動中の車はどうなっている?

ABS作動中の車は以下の手順を繰り返して、停止するまで作動し続けています。

1.運転手が急ブレーキをかける
2.ブレーキの油圧が上がり減速が始まる
3.ABSセンサーがブレーキの油圧が上がったのを感知し、ロック寸前のタイヤを検知
4.ABSアクチュエーターがブレーキ油圧を下げるためにバルブを開き、ポンプで吸い上げて減速を弱める
5.減速の弱まりとともにタイヤがロックするのを避け、タイヤの回転を可能にする
6.ABSセンサーがタイヤの回転数を随時計測
7.車が停止・減速するまでABSアクチュエーターがブレーキの油圧を増加、保持、減圧を繰り返す

ABSはどうしたら作動する?

ABSはどうしたら作動する?

一般的にABSは、強い力でブレーキをかけたことで生じるタイヤのロックを検知して作動する仕組みになっています。
ですが、ABSを正しく作動させるには、コツがあります。ABS本来の力が発揮できていないケースも多いため、作動方法や対処方法、注意点をしっかり押さえておきましょう。

ABSの作動方法

ABSが作動する主な条件は、“ブレーキペダルを強い力で踏み込み続けること”です。これによってABSセンサーがタイヤロックを感知したときに自動で作動します。

ドライバーの意思とは関係なく作動するため、いつ・どの状況でABSが働いたのかを正確に把握するのは難しいかもしれません。ただし、慣れている方であれば、音とペダルに伝わる振動(キックバック)から作動を感じ取ることは可能です。

また、ABSセンサーが必要性を感知しても、運転手の踏力が足りないなどの理由でうまく作動しないことがあります。ヒューマンエラーによってABSが作動できない要因は主に以下の2つです。

①聞きなれない音・振動に驚き、ブレーキ踏力を緩めてしまった
②ブレーキを継続的に踏み込む力が足りなかった(※女性や年配者に多い)

①の場合は、ABSが作動した際、車にどのような変化が現れるのかを知っておくと対処できます。

・「ガ・ガ・ガ・ガ」といった作動音がする
・踏み込んだ直後に足裏に強い振動(キックバック)を感じる
・スピードメーター内にあるABSランプが点灯する

緊急時ほど冷静な対応が必要となるため、音や振動に惑わされることなくプレーキペダルを踏みつける力を維持してください。ABSが作動しているときは「ガ・ガ・ガ・ガ」という音とキックバックがくるものだ、と認識しておくことが重要です。

②については、踏力をサポートする装置を搭載した車が近年増えているので、車選びの際にサポート機能があるかを確認すると安心でしょう。

ABSの解除方法

ABS作動後は、ドライバーが何もしなくても自動的に作動しなくなる仕組みになっています。アクセルを踏めば、そのまま走り出しますので、ABSが作動したとしてもドライバーが手動で解除するなど対処する必要はありません。車の停止・安全を確認のうえ、運転を再開して構いません。

ABS作動中の注意点

ABSは緊急時の車の安定性を維持する大切な存在です。きちんと作動させるために、以下のポイントをチェックしておきましょう。

・ABS作動中にポンピングブレーキをかけない
・路面状態によっては制動距離が伸びるケースがある

ABS作動時は自らポンピングブレーキをかけないように注意してください。ABSは継続的な強い踏み込みによって効果を発揮するため、ブレーキペダルを小刻みに踏むポンピングブレーキをかけてしまうと、必要な制動力を発揮できなくなってしまいます。

ABSが必要となる緊急時は、ポンピングブレーキのことは考えずにハンドル操作に集中してブレーキを踏み続けましょう。

ABSランプ(警告灯)が点灯する理由と対処法

ABSランプ(警告灯)が点灯する理由と対処法

ABSランプが正常の場合は、下記のタイミングで点灯します。

・ブレーキを大きく踏み込み、ABSセンサーが反応している
・エンジンをかけた直後に一時的に点灯する

ブレーキを踏み込んでもいないのに走行中・停止中にABSランプが点灯する場合は、ABSに何かしらの不具合が生じている可能性が高いため注意が必要です。

ABSランプ(警告灯)が点灯する原因

ABSランプが異常点灯する要因は一つとは限りません。素人が原因を特定するのは困難ですが、考えられる原因をピックアップしましたので参考にしてください。

ABSランプが点灯し続けている場合

・ABSに関わる部品に不具合がある
・ブレーキランプが切れている
・テールランプをLED化した際に電圧が低くなり、球切れと誤認している
・バッテリーの電圧が低下している

ABSランプが点滅している場合

・ABSに関わる部品が壊れている
・ABSに関わる部品が接触不良を起こしている
・バッテリーの電圧が低下している

ABSランプの異常点灯・点滅の原因究明が厄介な理由は、球切れや電圧の変化などABSとは関係のないトラブルも絡んでいることです。走行を続けているとABSセンサーの誤検知が解消され、ABSの異常点灯・点滅が消えることもあります。

しかし、「原因がABSセンサーの誤検知だった」とは限りません。異常点灯・点滅を確認した際は、ABSの故障を疑い、速やかな点検をおすすめします。

ABSランプ(警告灯)が点灯したときの対処法

まずは、速やかに運転を中止して安全な場所で車を停止させてください。
そのうえでブレーキペダルを軽く踏み、ブレーキのかかり具合に異常がないかを確認します。

ABSランプの異常点灯・点滅は、基本的には修理または調整をしないと解消しません。ABSランプがついた後に走行を継続するようであれば、急ブレーキをかけないように注意して運転します。ブレーキを大きく踏み込んだ際、タイヤのロックによって制御不能に陥る恐れがあるからです。

たとえ異常点灯・点滅が解消しても、原因がハッキリとしない限りは、急ブレーキが必要な運転や問題の放置は避け、速やかに点検・整備しましょう。なお、異常点灯・点滅が継続していなくても、車には不具合を起こしたデータが残っているので安心してください。整備工場に説明すれば蓄積データから原因を究明してもらえます。

もし整備工場をお探しであれば、グーネットピットをご利用ください。地域ごとに検索をかけられるので、お近くの整備工場をすぐに見つけることができます。作業内容からでも絞り込みができるので、便利にお使いいただけます。

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なお、ABSランプに加えてブレーキ警告灯が点灯している場合は、特に注意が必要です。ABSだけではなくブレーキそのものが作動しない可能性が高いと考えられます。

ブレーキの誤作動は重大な事故につながりますので、ランプの点灯・点滅を確認した際は速やかに安全な場所へ停止し、JAFロードサービス救援コール(#8139)や道路緊急ダイヤル(#9910)をして助けを求めましょう。

ABSランプ(警告灯)の修理費用

ABSランプの修理・点検・整備は、ガソリンスタンドやカー用品店などでも行なっています。車のデータを収集・分析する必要があるため、専用機材を所有している店舗に依頼しましょう。

ABSランプの修理費用は、車種や症状、どこに依頼するのかによって変動してきます。以下の情報は一例に過ぎないので、あくまでも参考に留めてください。

コンピューターによる診断・消灯

5,000円~

ABSセンサーの故障・修理

1万5,000円程度

ABSモジュールの故障・修理

10~20万円程度

ABSに限らず車の警告灯には、赤・黄・緑(青)のように段階を知らせるタイプもあります。緊急度は「緑(青)<黄色<赤」の状態で高くなっていくので、今すぐ点検しに行く必要があるのかどうかを判断する際の目安にするのもよいでしょう。

まとめ

ABSは、ほとんどの車が標準装備している安全装置で、緊急時の強い力によるブレーキ操作によって作動します。タイヤがロックせずにグリップ力を維持できるので、ドライバーが車を安全に停止させるのをサポートし、「横滑り防止」「緊急回避」「車体の姿勢制御」といった役割を担っています。

しかし、ブレーキ踏力が弱いとABSがうまく作動しません。聞きなれない音や振動に驚き、ブレーキ踏力を緩めることがないよう、ABSが作動した際はどのような状態になるのかを前もって把握しておきましょう。

なお、ABSが作動していないにも関わらず、ABSランプ(警告灯)が点灯することもあるので、挙動がおかしいと感じたら整備工場での点検をおすすめします。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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