故障・修理
更新日:2021.06.22 / 掲載日:2021.06.22

W123ベンツちゃん復活大計画 vol.23最終回-1 「効果的なブッシュ交換法を発見」

 北米で出会ってから5年。時には失敗、時には笑いといろいろあったレストアも今回で完了。ボロボロだったベンツちゃんも生まれ変わることができました。往年の姿と走りを取り戻したベンツちゃんの勇姿を3つの記事でお届け。まずはその第1弾!
●文&写真:ハリー山崎

海外サイトで効果的なブッシュ交換法を発見

 ベンツちゃんのリヤサスは、左がトーアウト側、右がトーイン側にズレていたため、前回の作業でサブフレームを支えていたブッシュを交換した。すると操安性こそ劇的に回復したが、トー角度の不揃いまでは……。リヤ側はアライメントを調整する機能はないので、おそらく大元のリヤトレーリングアームを支えるブッシュが劣化しているのだろう。

 そこで今回はその大本の原因を解消すべく、トレーリングアームのブッシュの交換をすることに。まず作業面で問題になるのは、トレーリングアーム取り付けボルトはサブフレームを降ろさないと抜けないことと、トレーリングアームを取り外す際にスプリング(超強力で長い)を外す必要があるため、専用のスプリングコンプレッサーが必要になることだ。

 フロント側を交換した時に、怖い思いをしたので正直いって気が進まない。そこでお得意のネット巡りをしてみたところ、海外サイトで見つけた動画から、かなり有効な方法を見つけることができた。

 やり方としては、サブフレームの後ろ側を下げることでスプリングを緩める方法。これなら面倒な手順を大幅に減らすことができる。投稿主は「限られた年式だけできるかも?」と話していたが、試してみる価値は大いにありそうだ。

古いクルマだけに作業は安全第一で
ジャッキポイントの強度が心配な車両は、2重3重の安全策を講じないと整備事故の原因になることも。また作業フロアの強度も重要だ。

サブフレームは、前方2か所(左右のリアドアの下あたり)と後部1か所(デフ部分)で車体に取り付けられている。前方はそのままの状態でデフ側だけゆっくりと下げる。

ショックなどの周辺パーツを取り外した後、ジャッキを使ってデフを下げると、スプリングが安全に取り外せる状態になった。

左右同時に下げると、位置決めが難しいので、スプリング無しの状態で再びデフ(サブフレーム後部)を車体に取り付けて、その後に左側の前側サブフレームの取り付け箇所のみを外す。

ブッシュの取り付け位置はここ!ボルトのスペース確保を目指す
指で示しているのが、トレーリングアームブッシュの取り付け箇所。ボルトを抜くと車体に当たるため、サブフレームを下げてボルトが抜けるスペースを確保する必要がある。

これが前回交換したサブフレームブッシュ。交換後はサブフレームがしっかりと固定された影響で操安性は劇的に向上。リヤの足回りのリフレッシュも重要だと思う。

目で見る限り、サブフレームやトレーリングアーム、車体側の取り付けブラケット周りには変形箇所が無い。やはり、トレーリングアームブッシュの劣化が原因なのだろうか?

リーズナブルな汎用工具でブッシュ外しにチャレンジ
トレーリングアームのブッシュは、単純にゴムブッシュがアームに圧入されているだけなので、ホームセンターで入手した汎用金具でチャレンジしてみる。

念のため、オリジナルのブッシュ装着方向や向きがわかるようにマーキング。内部のカラーとブッシュは剥離しているが、ブッシュの弾性がまだあるのでズルズルと抜けてきた。

リヤのアライメントのズレの原因はコレだろう。ブッシュが押しつぶされカラーの位置が中心からずれている。たった1mmのズレでもリヤのトー角度に与える影響が大きいはずだ。

新品のブッシュに交換。これで問題は解決できるはず
新品のブッシュを挿入。長ナットを使うほうがブッシュ脱着時には作業性が良い。劣化したブッシュを交換すると、なんだか気分も若返る気がする(笑)

1G状態で本締めを行う作業の山場は乗り切ったかも
ブッシュを交換した後に1G状態のトレーリングアーム角度までジャッキでアームを持ち上げて本締めを行う。作業性が悪い足回りのボルトは、トルクレンチを使用したほうが確実。

左側のサブフレームのボルトを取り付けたら、右側も同じ手順で行う。スプリングが無い状態なので位置決めは行いやすい。

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

この人の記事を読む

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ