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車検・点検・メンテナンス
更新日:2021.06.25 / 掲載日:2021.06.24

OBD車検とは?2024年10月から始まる新検査について

OBD車検とは?2024年10月から始まる新検査について

2024年10月以降の本格始動を控えているOBD車検ですが、「何を目的にどのような検査をするのか」がわからない方も多いのではないでしょうか。

OBD車検を簡単に説明すると、自動ブレーキや駐車支援システムなど、自動車技術の発展とともに便利になった電子制御機能の安全・安定を図る検査を指します。
馴染みのある自動車検査(車検)では、電子機能に関する検査は含まれていないため、OBD車検の重要性が注目を集めているのです。

当記事ではOBD車検の基本的な仕組みや目的、流れなどを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

OBD車検とは?

OBD車検とは、「On Board Diagnostics(車載式故障診断装置)」を使った自動車検査のことをいいます。

OBD(車載式故障診断装置)では、運転支援装置や排気ガス装置で検出した異常データを、自動車検査時に法定スキャンツール(外部故障診断機)で読み取るだけで、修理の必要性や安全性を確認できます。

OBD車検の導入背景・目的

OBD車検のおもな目的は、自動車に内蔵した電子制御システムが正しく動いているのかを検査し、誤作動による事故・トラブルを未然に防いで安全な走行を確保することです。

自動ブレーキや駐車支援システムなど、コンピューターの力を使った自動運転技術・運転支援技術の開発が進んでいますが、「本当に正しく動くのかどうか」「経年劣化により誤作動を起こすのではないか」など、不安や心配が多く残っています。

また、道路運送車両法により、公道を走る車に対して定期的な自動車検査(車検)を必須としているなか、コンピューターシステムに関わる検査条目は設けられていません。仮に異常がある状態でも車検を通過できるため、公道も問題なく走れてしまいます。

コンピューターシステムへの不安や心配があっても、OBD車検が本格始動しない限り、各車に搭載している「警告ランプ」でしか不具合を判別できないのが現状です。

車のプロでも、警告ランプ本体が壊れていれば異常を見つけ出すのが難しいため、OBD車検の実施に大きな期待が寄せられています。

OBD車検の仕組み

OBD車検では、警告ランプでは見つけ出せない車の故障や不具合をコンピューターの力を使って探り当てます。OBDには故障コード(DTC)が蓄積されているため、法定スキャンツール(外部故障診断機)で読み取ると、自動で故障状態・内容を把握できる仕組みです。

取得した情報が端末から自動車技術総合機構の運営サーバーへ流れると、「特定DTC」の有無を確認し、合否結果を端末へ返してきます。

詳しい検査の流れについては後半で解説しますので、そちらもご覧ください。

OBD車検の開始時期

OBD車検の本格的な開始時期は、国産車・輸入車によって1年の違いがあります。

・国産車:2024年10月以降
・輸入車:2025年10月以降

また、上記日程に先駆けて2021年10月からOBD車検のプレテストを実施します。プレテストの実施上限台数は決まっておらず、運輸局へ持ち込む継続検査車両を対象に、希望者であれば検査が可能です。

ただし、車検時に故障コードが検出された場合に不合格とする時期は、2024年10月(輸入車は2025年10月)以降となります。

OBD車検のメリット5つ

OBD車検のメリット5つ

OBD車検には、おもに5つのメリットがあります。警告ランプの点灯で判別する場合と比較した、OBD車検のメリットを確認しましょう。

メリット1:保安基準に抵触していないか的確に検出できる

OBD車検の大きなメリットは、保安基準に適さない故障コードを見つけ出せることです。この故障コードを専門用語では「特定DTC」と呼びます。

警告ランプの点灯基準は各メーカーが独自で定めているため、所有者・点検者が正しく故障状態を把握できないリスクがあります。
警告ランプが点灯しないトラブルもいち早く把握できる点が、OBD車検のメリットの一つといえるでしょう。

メリット2:より詳しい結果を通知できる

警告ランプの点灯から故障を探り当てても、車に詳しくなければ「どこがどのように故障しているのか」まで把握するのは困難です。

しかし、OBDからスキャンできる故障コードは細かく分類されているため、合否判定に限らず「どこがどのように故障したのか」まで、詳細な情報をひと目で把握できるようになります。

メリット3:警告ランプの不具合を容易に検知できる

故障コードを用いるOBD車検では、警告ランプ本体の不具合は結果に影響しません。そのため、「OBD車検で異常が出ているのに警告ランプが作動していない」となれば、警告ランプ本体の不具合・改造を疑えます。

車のプロであれば、イグニッションON時の時間(異常を探り当ててから警告ランプが点灯するまでの時間差)で、本体の故障判断は可能です。しかし、正確な判断を下すのは難しいため、故障コードを用いたOBD車検が優位に働きます。

メリット4:不具合の確認漏れ・人為的ミスを防げる

OBD車検では、警告ランプの数・様式に関係なく異常を見つけ出せるため、確認漏れや人為的ミスを防げます。
警告ランプのみで検査を行なう場合、異常のある警告ランプをすべて確認する必要があるほか、マルチディスプレイ式のように様式が異なる場合もあります。

検査員の対応次第では、重大な見落とし(人為的ミス)につながる可能性が高くなるため、OBD車検のほうが安心かつスムーズです。

メリット5:警告ランプの点灯がない不具合も検出できる

SAE規格(米国自動車技術者協会が定める規格)の車載故障診断装置(OBD-Ⅱ)には、レディネス・コードがあります。

レディネス・コードは、排出ガス対策装置関係に影響がある故障検知条目で不具合を2回検知すると自動記録されるコードのことをいい、警告ランプの点灯がない異常も探り当てることが可能です。

警告ランプの点灯が干渉しない異常を見つけ出せるのは、OBD車検の大きな魅力といえます。

OBD車検の対象は?検査要件

OBD車検の対象は?検査要件

OBD車検では、検査の対象となる「車」「装置」をあらかじめ定めています。OBD車検を受けるべきか悩んでいる方は、下記の情報を参考に判断しましょう。

OBD車検の対象車両

プレテスト期間を含め、当面は「運輸支局に持ち込まれる車検車両」が対象です。ディーラーや整備工場では受け付けていないので注意しましょう。
さらに具体的な対象車両の条件については、下記をご確認ください。

・型式指定自動車または多仕様自動車
・乗用車、バス、トラック(M1、M2、M3、N1、N2、N3)
・2021年以降に販売する新型車(輸入車は2022年以降)

全車共通して「新型車」であることが必須条件です。2021年よりも前に販売された車は、検査対象装置を内蔵していても受けられません。

OBD車検の対象装置

OBD車検の対象装置は、上記「対象車両」に搭載してあることが前提条件です。また、保安基準に性能要件の規定がない装置は、規定されるまで対象外として扱います。

対象装置・技術詳細
排出ガス等発散防止装置道路運送車両の保安基準が定める装置
運転支援技術・アンチロックブレーキシステム(ABS)
・横滑り防止装置(ESC/EVSC)
・自動ブレーキ(AEB/AEBS)
・ブレーキアシストシステム(BAS)
・車両接近通報装置
自動運転技術UN/ACSFで審議し、UN規則が成立している自動運転技術
・Category A、B1、C
・緊急操舵技術(ESF)


OBD車検はいくらかかる?検査費用

OBD車検はいくらかかる?検査費用

OBD車検はプレテストを含め、1台400円で実施します。
車の電子制御を行なう「ECU情報」や、保安基準を満たさない「特定DTC情報」など、OBD車検において欠かせない膨大なデータを自動車技術総合機構が管理するための費用です。

OBD車検の想定手順・流れ

OBD車検の想定手順・流れ

OBD車検は、おおよそ下記の流れで進みます。
検査官・検査員が行なうのは、おもにOBD車検が始まる前の「準備」のみであり、その後は自動で外部故障診断機のシステムが異常を探り当て、画面に結果を表示します。

作業項目作業内容
準備作業・外部故障診断機に最新アプリをセットアップ
・インターネット環境下で検査対象車両にコネクト
判定作業1.起動アプリのバージョンを調べて、検査に進むか否かを判定
古い場合は検査に入らず停止し、準備作業へ戻る
2.ECU情報の照会車検証QRコードの読み込み、または記入によって検査車両情報を確定。サーバーへECU情報の照会を行なう
3.DTC情報の読み込みECU情報に基づいたDTCデータを読み込む
4.特定DTCの検知特定DTCの検出結果をサーバーとアプリへ送信
5.結果表示「合格・不合格」をアプリ内に表示して終了


合否基準は「特定DTC」がポイント

合否基準は「特定DTC」がポイント

OBD車検の合否判定は「特定DTC」の検出結果が重要になってきます。症状の大きさに関わらず、1つでも特定DTCが出た時点で「不合格」です。

また、排出ガス関係では、J-OBDI規制に該当する車を除き、レディネス・コードが1つ以上記録された状態で、特定DTCが検出されなければ「合格」とみなします。

なお、特定DCTの合否判定においては、「通信エラーが原因の不合格」が問題視されています。現状では、不合格の原因が通信エラーであっても、ユーザーには通信成立下での不合格と同等の負担がかかってきます。救済措置の必要性が今後の大きな課題といえるでしょう。

OBD車検に関わる注意点

OBD車検に関わる注意点

OBD車検は、電子制御を搭載した車にとって安全・安定を確保する魅力的な検査です。しかし、確立間もないことから注意点がいくつか存在します。

注意点1

OBD車検の対象・基準は、重大事故の発生や技術発展などの状況に応じて適宜変わる可能性がある。

注意点2

当初の段階では、走行時の故障コードを特定DTCに含んでいない。走行状態記録される故障コードを含めるとなると走行作業が必要となるため、検査負担が大きくなる。より高い正確性を取るか、負担軽減を優先するのかのバランスが難しい。

まとめ

OBD車検は、電子制御が標準化されつつある自動車の安全・安定を確保するために重要な役割を果たす自動車検査です。2021年10月からプレテストが始まりますが、メリットが多い反面、課題も多く残っています。

2024年10月以降には本格的にOBD車検が始まりますので、今後どのような改善が図られるのか期待しつつ、当記事を参考に基本的な仕組みを少しずつ把握してください。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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