タイヤ交換
更新日:2015.02.02 / 掲載日:2015.02.02
スタッドレスタイヤを夏に使用すると寿命が縮むのか
“今年で最後のスタッドレスタイヤ…
春になってもノーマルタイヤに交換せずに、春も夏も秋もそのまま履きつぶして、
冬のスタッドレスタイヤ買い替えのタイミングで廃棄する”
というカーオーナーの方が以外と多く、街でもよく見かけますよね。
また、“タイヤ交換をするのが面倒だから、そのまま来シーズンまで履き続ける”
という方もいるかもしれません。
スタッドレスタイヤを夏に使っても問題はないのでしょうか?
また、タイヤの寿命を縮めてしまわないのでしょうか?
スタッドレスタイヤをオールシーズン使用するか否かは、
運転する本人の、タイヤ交換費や労力を削減することだけの問題ではありません。
同乗する人もまわりの人も巻き込む恐れのある、安全に関わる重大な問題ですから、
スタッドレスタイヤの夏の使用の危険性について、この機会に知っておきましょう。
夏もスタッドレスタイヤを使用する問題点
1.燃費が悪くなる
ノーマルタイヤ(夏タイヤ)と比較すると、
スタッドレスタイヤは約10%燃費性能が劣るといわれています。
スタッドレスタイヤのゴムは柔らかいため、路面に多く密着します。
そうすると、タイヤが転がる力に対して路面の抵抗が大きくなりますから、
ノーマルタイヤよりも多くのエネルギーを必要とする=(イコール)燃費が悪くなるということです。
また、特殊な柔らかいゴム素材を使っているスタッドレスタイヤは、
一般的に見て重量がある(重い)ので、これも燃費が悪くなる一因といえます。
2.ハンドリングが鈍くなる
ノーマルタイヤで当たり前だったコーナーのハンドリングが、
スタッドレスタイヤでは、思いのほか大回りになってしまいます。
スピードを出した状態でのカーブ走行や急なアクセル・ブレーキは、
予想外の事故の原因になるため、注意が必要です。
3.ブレーキの効きが悪くなる
スタッドレスタイヤのゴムは柔らかく、
ブレーキ時の力に負けて、トレッドに入った細かい溝が変形してしまいます。
そのため、ノーマルタイヤ(夏タイヤ)に比べてブレーキの性能が落ちるので、
制動距離が長くなってしまいます。
4.ハイドロプレーニング性能の低下
スタッドレスタイヤには深い溝と細かい溝が多く入っていて、
路面の水を掻き出すので、ハイドロプレーニング(※)性能が優れている印象をうけます。
しかし、スタッドレスタイヤのゴムは柔らかいため、
細かく入った切り込みは水圧に負けて変形します。
そうなると、路面とタイヤの間の水膜を掻き出す力が弱まってしまうため、
結果、スタッドレスタイヤはハイドロプレーニング現象が起きやすいのです。
特に、高速道路や大雨の際の走行時は注意が必要です。
※ハイドロプレーニング現象とは、水が溜まった路面で、
車のコントロールがきかなくなることです。
5.タイヤの寿命が縮む
スタッドレスタイヤのゴムは、
-20℃でも柔らかさを保てるような特殊なゴムを使用していますが、
炎天下の路面では必要以上に柔らかくなります。
夏の気温の高い時期に使用を続ければ、
柔らかくなったゴムは乾いた路面に密着し、
急なブレーキやアクセル・カーブ走行では削られやすくなります。
また、ゴムの劣化を早めるのは「紫外線」と「水分」ですから、
履き続けるのはすなわち、外気にさらされっぱなしという事ですので、
タイヤの寿命を縮める一因となるのです。
6.バーストの危険性
スタッドレスタイヤを夏に履く場合は、
バースト(破裂)の可能性に注意する必要があります。
真夏の炎天下での長時間の長距離の高速走行など、過酷な状況下では、
熱を持ちやすく変形しやすいためタイヤがバースト(破裂)する可能性も高まってしまいます。
まとめ
結果を言えば、
『スタッドレスタイヤを夏も履き続けるのは可能だが寿命が縮む。
また、いろんなマイナス面があり、何かあってもすべては自己責任』
ということです。
夏にスタッドレスタイヤを使うのは、
燃費が悪かったり、ハンドルやブレーキ操作などに注意が必要という事は、
先にご説明したとおりです。
それでも履き続けるには、急なアクセルやブレーキ、
ハンドル操作を避け、日頃の安全運転を心がけるのは絶対条件です。
それでも、予想外の事態で
“あと数メートル早く気付いていれば…”という事がないとも限りません。
誰しも、事故を起こしたくて起こす人はいません。
あなたがもし事故の加害者になってしまったときに、後悔しないと言い切れるでしょうか?
「安全」と「安心」を得るためには、
『暖かい季節にはノーマルタイヤ(夏タイヤ)に交換する手間を惜しまないこと』が大切です。