法定点検[2018.08.29 UP]

法定点検の基本(車検との違い・検査項目・期間や罰則・費用相場)を徹底解説

法定点検の基本(車検との違い・検査項目・期間や罰則・費用相場)を徹底解説

車の点検と言ってもいくつも種類があり、ユーザーが目視等により点検を行う日常点検、法律で定められた定期点検があります。代表的な点検は、車検と車検との間に行う「法定1年点検」と、2回目以降の車検と同時期に行う「法定2年点検」です。ユーザーはこれら点検を実施し、車を適正で安全な状態で使用しなければなりません。ここでは、法定点検の種類から検査項目等まで、詳細を解説します。

法定点検の基本

法定点検の基本

法定点検とは

まず法定点検は、法律で定められていることを知っておきましょう。 車を使う人は、道路運送車両法 第48条(定期点検整備)により点検を受ける義務が明記されています。自家用車の場合、法定点検には、1年ごとに行う12ヶ月点検と、2年ごとに行う24ヶ月点検があります。点検内容は12ヶ月点検(1年点検)と24ヶ月点検(2年点検)では、それぞれ項目は異なります。なお、3ヶ月点検及び6ヶ月点検もありますが、これらは事業用自動車(バス、タクシー、レンタカー等)または貨物自動車等で、自家用車では必要ありません。詳しくは別章で解説します。

法定点検と車検の違い

法定点検と車検は一見似ている印象を受けますが、内容と目的はかなり違います。法定点検は、車が故障なく快適に走れるかどうか確認するものです。車検は、車が保安基準(道路運送車両法に定められる規定で、自動車の構造,装置,乗車定員等)に適合しているかを検査するための制度で、点検ではありません。例を挙げると「エアクリーナーエレメントの状態」で、法定1年点検の項目に含まれています。エアクリーナーエレメントが目詰まりすると、エンジンは十分な空気を吸い込むことができず、アイドリングが安定しないばかりか、不完全燃焼の可能性もあり、燃費の悪化に繋がります。一方の車検では、排気ガス検査は行いますが、エアクリーナーエレメントの状態や吸気状態のチェックは行いません。これで分かるように、安全かつ快適に車を走らせるためには車検だけでは不十分であり、その車が本来持つ快適な走行性能を維持するためにも法定点検や日常の点検が大切になってくるのです。

法定点検は義務?しないと罰則はあるの?

まず、法定点検は道路運送車両第48条(定期点検整備)により規定されている義務です。しかしながら、受けなかった場合の罰則規定はありません。法定点検を受けないというのは、主に12ヶ月点検となります。通常、24ヶ月点検は車検と同時に行うためです。法定点検が法律に定められている背景には、車の保安基準を満たしていれば問題が指摘されない車検だけではカバーしきれない、ブレーキパッド等の減り具合や経年や走行距離により本来の性能が発揮できるか、個々の車の状態を点検・整備することができるからです。また、メーカー保証も12ヶ月点検を行っていることを前提に作られていますので、点検をしなかったことに起因する故障や不具合の発生の可能性もあります。なお、バスやトラック等の事業用車両に対しては、点検をしないと罰金や最悪な場合、運行停止命令などの罰則があるので、注意してください。

法定点検の重要性とメリットとは

法定点検を受けることにはいくつかのメリットがあります。1つ目は、12ヶ月法定点検を受けている場合、点検項目に該当する箇所の不具合や故障が起きた場合はメーカー保証が受けられることです(ユーザーの重大な過失を除きます)。2つ目は、法定点検を受けていれば、整備不良等に起因する事故が起こった場合、ドライバーの法的責任が軽くなる可能性が高いことです。そして3つ目は、定期点検を「点検整備記録簿」に記載しておくことにより、下取りや中古で売却する際の査定評価が上がることです。たとえ同じ年式で走行距離でも、きちんと定期点検を受けた車の方が過去の点検実施の履歴が把握できるため、安心感が高いからです。

法定点検の種類

法定点検の種類

次に、各法定点検の概要と、対象となる車種等を解説します。

法定12ヶ月点検(法定1年点検)

ブレーキペダル・クラッチペダルの遊びなど車内点検、エンジンルーム点検、下まわり点検、外まわり・足まわり点検と分かれています。エンジンからブレーキの効き具合など、安全と快適さに関わる点を総合的に点検します。対象車種と点検項目数は、次のとおりです。

・自家用車(軽自動車含む):26項目
・中小型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車):82項目
・バス・トラック・タクシー(事業用):96項目
・大型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車以外):96項目

法定24ヶ月点検(法定2年点検)

24ヶ月点検は、「1年ごとの点検に加える」とされていますので、12ヶ月点検項目も含みます。そのため24ヶ月点検の方が点検項目は多くなります。例えば「制動装置」の項目では、12ヶ月点検では《ディスクとパッドとのすき間、パッドの摩耗》だけだったのが、24ヶ月点検では《ディスクの摩耗及び損傷》が点検項目に加わります。対象車種と点検項目数は、次のとおりです。

・自家用車(軽自動車含む):56項目

中小型トラック(自家用)やバス・トラック・タクシー(事業用)は対象外です。これら車両は、車種によって3ヶ月や6ヶ月点検が義務づけられており、12ヶ月点検が最長期間であるためです。

法定3ヶ月点検

これは事業用の車両、すなわちバスやトラック等に対して義務化されており、事業用車両の維持管理を担当する整備管理者は整備管理規程を定め、定めた規程に基づき業務を遂行する必要があります。しかしこの定期点検を実施しなかった場合や、整備管理者制度に違反した場合、「道路運送車両法違反110条」違反により30万円以下の罰金に処せられます。点検項目は次のとおりです。

・バス・トラック・タクシー(事業用)、大型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車以外):47項目
・被牽引自動車:20項目

法定6ヶ月点検

自家用の中小型トラック、レンタカーに義務づけられています。

・中小型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車):22項目

3ヶ月点検と6ヶ月点検は、バスやトラック、レンタカー等の不特定多数の乗客を乗せたり、たくさんの荷物を積んで走ったりする事業用車両のためのものです。日本の旅客交通や物流は、これらの大型車両によって支えられていますが、走行距離は自家用車に比べて非常に長く、また車体が大きいために事故が起きると、被害も大きくなる傾向があるため、一般の乗用車とは法定点検の扱いが異なります。自家用車と比べて点検が短期間のサイクルになっているのはそのためであり、用途によってこうした違いがあるのは、安全性・社会性の面からも理にかなっていると言えるでしょう。

法定点検の検査項目

法定点検の検査項目

「自動車点検基準」(昭和二十六年八月十日運輸省令第七十号)で定める法定12ヶ月点検、及び、24ヶ月点検の項目・内容は、次のとおりです。

【法定12ヶ月点検の検査項目・内容】

かじ取り装置(ステアリング)

●パワーステアリング装置
・ベルトの緩み・損傷

制動装置(ブレーキ)

●ブレーキ・ペダル
・遊び、踏み込んだときの床板とのすき間
・ブレーキの効き具合

●駐車ブレーキ機構
・引きしろ(踏みしろ)
・ブレーキの効き具合

●ホース及びパイプ
・漏れ、損傷、取付状態

●マスタ・シリンダ、ホイール・シリンダ、ディスク・キャリパ
・液漏れ

●ブレーキ・ドラム、ブレーキ・シュー
・ドラムとライニングとのすき間
・シューの摺動部分及びライニングの摩耗

●ブレーキ・ディスク及びパッド
・ディスクとパッドとのすき間
・パッドの消耗

走行装置

●ホイール
・タイヤの状態
・ホイール・ナット及びホイール・ボルトの緩み

動力装置

●クラッチ
・ペダルの遊び、切れた時の床板とのすき間

●トランスミッション・トランスファー
・オイル漏れ、オイル量

●プロペラ・シャフト、ドライブ・シャフト
・連結部の緩み

電気装置

●点火装置
・点火プラグ(スパーク・プラグの状態)
・点火時期
・ディストリビュータのキャップの状態

●バッテリ
・ターミナル部の接続状態

原動機(エンジン)

●本体
・排気の状態
・エア・クリーナー・エレメントの状態

●潤滑装置
・オイル漏れ

●冷却装置
・ファン・ベルトの緩みと損傷
・水漏れ

エグゾースト・パイプとマフラー

・取付けの緩みと損傷

【法定24ヶ月点検の検査項目・内容】

法定24ヶ月点検は、法定12ヶ月点検の検査項目・内容に、以下の点検を加えたものになります。

かじ取り装置(ステアリング)

●ハンドル
・操作具合

●ギヤ・ボックス
・取付の緩み

●ロッド、アーム類(ステアリング・リンケージ)
・緩み、がた、損傷
・ボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂と損傷

●かじ取り車輪
・ホイール・アライメント

●パワーステアリング装置
・オイル漏れ、オイル量
・取付の緩み

●マスタ・シリンダ、ホイール・シリンダ、ディスク・キャリパ
・機能、摩耗、損傷

●ブレーキ・ドラム、ブレーキ・シュー
・ドラムの摩耗及び損傷

●ブレーキ・ディスク及びパッド
・ディスクの摩耗及び損傷

走行装置

●ホイール
・フロント・ホイール・ベアリングのがた
・リヤ・ホイール・ベアリングのがた

緩衝装置

●サスペンションの取付部と連結部
・緩み、がた、損傷

●ショック・アブソーバ
・油漏れ及び損傷

動力装置

●プロペラ・シャフト、ドライブ・シャフト
・自在継手部(ユニバーサル・ジョイント)のダスト・ブーツの亀裂と損傷

●デファレンシャル
・オイル漏れ、オイル量

電気装置

●電気配線
・接続部の緩み及び損傷

原動機(エンジン)

●燃料装置
・燃料漏れ

ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置

●ブローバイ・ガス還元装置
・メターリング・バルブの状態
・配管の損傷

●燃料蒸発ガス排出抑止装置
・配管等の損傷
・チャコール・キャニスタの詰まりと損傷
・チェック・バルブの機能

●一酸化炭素等発生防止装置
・触媒反応方式等排出ガス減少装置の取付の緩みと損傷
・二次元空気供給装置の機能
・排気ガス再循環装置の機能
・減速時排気ガス減少装置の機能
・配管の損傷取付状態

エグゾースト・パイプとマフラー

マフラーの機能

車枠(フレーム)、車体(ボディー)

・緩み及び損傷

法定点検の実施

法定点検の実施

法定点検はいつからいつまでの期間にやらなければいけないのか

車検には「○月○日まで」という明確な期限がありますが、法定点検にはありません。ただし、あまり極端に早かったり遅かったりするのは、本来の意味合いから逸脱する可能性はあるでしょう。例えば、購入後23ヶ月目に12ヶ月点検を行うという方はまずいないと思われます。通念的には、点検すべき日の前後1ヶ月以内には実施することをおすすめします。24ヶ月点検は、必然的に車検と同時に行うことが多いですから、期限はあまりユーザーが気に留める必要はなく、ディーラーや整備工場など車検業者で同時に実施します。

法定点検が期限切れを起こしていたらどうすればいいのか

上記のとおり、12ヶ月、24ヶ月という法定点検は、車検と違い、「○月○日まで」実施しなければならないという法律で決められた期限はありません。自家用車の場合、もちろん受ける義務はありますが、期限が切れてしまっても特に罰則はありません。しかし、ディーラーや販売店によっては、一定期日までに定期点検を受ければ点検料割引等のサービスを実施している場合があります。これは点検実施率を向上させるための施策なので、同じ点検を受けるのなら、そうしたサービスを活用する方が、コスト面でもメリットがあるため有効活用すべきでしょう。さらには、法定点検を受けておけば中古で売るときの査定評価のアップや、故障してもメーカー保証を受けられる可能性も高くなりますから、できるだけタイムリーに受けることをおすすめします。

法定点検は自分で行うことはできるのか

自分自身で実施することはできます。ただし点検項目を見ると、12ヶ月点検はユーザーが行えるものが多いですが、通常24ヶ月点検では、車をリフトアップして実施するドライブシャフトやマフラーの機能チェックも含まれるため、専用工具や専門知識が必要な項目が多くなります。24ヶ月ということは車検と同じサイクルなので、できればディーラーや整備工場等で車検と同時に実施してもらうと良いでしょう。

法定点検を自分で行った場合シール(ステッカー)はどうすればいい?貼るのは義務?

法定点検を実施した証明として、フロントガラスの助手席側の上部隅に貼る丸型のダイヤルステッカーがあります。このダイヤルステッカーは正式には「点検整備済ステッカー」と言い、年ごとに色が変わり、また点検した月の色が反転して、次回の点検がいつであるか、一目で分かるようになっています。また、裏面(室内側)には法定点検整備を実施した認証工場名、次回の法定点検整備の実施時期などが記載されています。ダイヤルステッカーは、国の認証のある整備工場でプロの整備士の目で法定点検をした場合にのみとして貼り付けられます。つまり、自分で点検を行った場合、入手できませんから、貼ることもできません。ダイヤルステッカーはいわば、プロの整備士が点検整備した安全・安心を示す証とも言えますダイヤルステッカーには貼り付けの義務はありません。しかしながら、次回法定点検の時期が過ぎたら、剥がす必要があります。期限を過ぎたステッカーを貼ったままにしていると、保安基準違反となりますので、期限が過ぎたら速やかに剥がしておくようにしましょう。

法定点検をした際は点検整備記録簿に記録しておかないといけないのか

車を購入すると、車検証と一緒に「点検整備記録簿」が付帯されています。これは、法定点検の結果と整備内容を記録・保存して、自動車の維持管理に役立てるためのものです。いわば病院のカルテのようなもので、きちんと点検整備記録簿を記録することで、いつでも過去の点検整備記録履歴が確認でき、どこで点検を実施したのか、また消耗部品の交換時期を判断することも可能になります。なお、点検整備記録簿は一般の自家用車であれば2年間保存することが求められています。車を中古で売ったり買ったりした場合も、整備点検記録簿があれば、過去の整備点検の履歴を知ることができ、車のコンディションを把握するためにも大変便利です。

法定点検の依頼

法定点検の依頼

法定点検はどこで受けられるのか

ガソリンスタンド

日々利用するガソリンスタンドでは、給油以外にタイヤ交換など、さまざまなサービスを行っています。法定点検を受けられるスタンドも多いですから、新車登録からそれ程年数の経過していない車両や走行距離の少ない車両など、消耗パーツの交換が少ないと思われる車両では検討してみてはいかがでしょうか。

カー用品店

カー用品店も同様、法定点検を受けられます。ただし待つことがないように、事前に電話やネット等で予約しておくのがいいでしょう。カー用品店で車検を受けた場合は、法定点検費用の割引など特典を用意している場合もあります。

整備工場

個人経営の整備工場であっても、修理や車検以外にも法定点検が受けられるところも多いのが特徴です。ただし、車種や混み具合などにより、受けてもらえないケースも想定されるため、事前に時間や費用を含め確認すると良いでしょう。

ディーラー

メーカーから取扱い車種のそれぞれ整備講習を受け、質の高い整備を実施するのがディーラー点検の特徴です。リコール情報や部品調達も含め、安心感が高い点も大きなメリットです。メーカー独自の技術や専用冶具などもあるため、最も安心感の高い整備業者とも言えるでしょう。特に自社で販売したユーザーを管理する上でも、車両販売と並び、各種定期点検・車検にも力を入れています。

法定点検の費用相場

ディーラー系における法定12ヶ月点検料金を参考としてご紹介します。ただし、これらは相場の目安金額ですから、車両によっても異なるケースが想定されます。実際に法定点検を依頼する場合は必ず確認してください。

・軽自動車:9,000円~14,000円程
・1000~1500ccクラス:10,000円~16,000円程
・1800~2000ccクラス:10,000円~17,000円程
・2000cc~3000ccクラス:11,000円~20,000円程
・3000ccを超えるクラス:12,000円~26,000円程

法定点検は、日常点検とあわせ、大切な愛車が環境に配慮しつつ、安全に快適に走れるように、エンジンをはじめブレーキ、足まわり、動力伝達系までを幅広く点検する重要なものです。12ヶ月、24ヶ月点検ともに道路運送車両法により点検、整備はユーザーの義務とされています。罰則規定はないものの、定期的に実施し、ユーザーは車のコンディションを維持する必要があります。しかし、決められた点検をしておくことで、安全に対するマージンが確保され、安心して日常の生活に使用できることに加え、万一の故障や不具合の発生でもメーカー保証が受けられる場合があるなど、メリットもあります。定期的な法定点検を実施し、愛車がいつでも快適に走れるように心がけましょう。

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