タイヤ交換
更新日:2022.10.27 / 掲載日:2022.07.14
タイヤの溝は車検を通すのに影響する?タイヤの溝の目安・長持ちさせる方法について解説
車検を通す際、事前に点検整備を行ってから実施することが一般的です。その中でもタイヤは、車両と路面を結びつけるパーツとして重要な役割を果たしています。
車検の際、タイヤの溝については影響があるのか分からないという方もいるかもしれません。この記事では、車検とタイヤの溝についての影響や重要性、タイヤを長持ちさせる方法についてお伝えしていきます。
車検を受ける際、参考にしてみてください。
車検でタイヤの溝がチェックされる理由
車検を通すためには、様々な項目がチェックされます。その中で、タイヤの溝の状態についても検査の対象となっています。
安全性を確保するため、タイヤの残り溝には保安基準が定められており、基準に満たない場合には車検を通すことができません。実際どのような理由でタイヤの溝が重要視されるのか、次から詳しく解説していきます。
1:走行の際の安全性
タイヤの溝が重要視される理由として、走行中の安全性の確保が挙げられます。実際に走行する際、路面に接しているのはタイヤです。
路面状況も刻々と変化していき、安全性を高めるためにもタイヤは重要な役割を果たしています。極度の摩耗や劣化した状態、キズがついているタイヤだと安全性の確保ができないため、交換も定期的に行う必要があります。
新品のタイヤは溝の深さも十分ありますが、5,000km走行すると1mmほどすり減ってしまい、ハンドリングやブレーキ性能に影響を与えます。特に溝が浅い状態だと、路面が濡れている時にハイドロプレーニング現象が起こってしまうことがあり危険です。
ハイドロプレーニング現象とは、路面とタイヤの間に薄い水の膜ができてしまう状態です。ハンドル操作が効かなくなってしまい、最悪の場合はスリップして事故に発展してしまうかもしれません。
安全運転を実施していくためにも、タイヤの溝に注意して日常点検をすることが大切です。
2:道路運送車両法の罰則規定がある
安全性の理由から、タイヤの溝の深さが基準を満たさない状態で公道を走行すると罰則規定が設けられています。これは道路運送車両法に基づいており、整備不良とみなされて道路交通法違反になります。
そのため、普通乗用車や大型車も関係なく違反点数2点、普通乗用車であれば9,000円、大型車は12,000円の反則金が課せられますので注意が必要です。
車検を通すためのタイヤの溝の深さは?
車検を通すためのタイヤの溝の深さは決まっています。詳細は以下の通りです。
・乗用車・軽トラック:1.6mm以上
・小型トラック:1.6mm以上
・大型トラック
・バス:1.6mm以上
上記は、一般道路を走行するための保安基準になっています。高速道路を走行する際は、これよりも溝が深くなっていなければなりません。
高速道路では、タイヤの溝の深さが小型トラックで2.4mm、大型トラック・バスは3.2mmと、車検に通る場合より深くなっているので注意が必要です。(乗用車は変わらず1.6mm以上)大きな事故が起こりやすい背景も踏まえて、溝がより深くなるように設定していると言えるでしょう。
溝の深さを簡易に確認するためには、タイヤについている「スリップサイン」を目安にします。スリップサインは、タイヤの側面に表示されている△のマークの延長線上にある溝の間にあり、1つのタイヤには4~9箇所あります。
スリップサインが出ている箇所が1箇所でもあれば、車検に合格することができません。スリップサインが出ないように日々の点検でチェックする必要があります。
新品のタイヤであれば、スリップサインと溝との間は約8mmになっています。
溝以外のタイヤのチェック項目
タイヤの溝が車検項目に関して重要な箇所であることを説明してきました。しかし、タイヤの溝以外にもタイヤをチェックする項目が存在します。
それでは、タイヤの溝以外で気をつける点はどのような項目なのでしょう。日常的に注意して見ておけば、車検に限らず安全に走行することが可能です。
次からタイヤの溝以外のチェック項目を3点、詳しく解説していきます。
1:極端な偏摩耗
タイヤがすり減る状況は、均一ではありません。車の駆動方式や前後左右でも異なってきます。
摩耗状況に関しては、片側摩耗、センター摩耗、ショルダー摩耗があり、このような状況になっていれば十分に注意が必要です。片側摩耗とは、トレッドの片側のみが早期にすり減っている状態です。
原因として、車が曲がる際にタイヤに大きな力が加わっていることが考えられます。防止策としては、車のアライメント調整を行い、足回りのズレを修正すると良いでしょう。
アライメント調整は、人間で言うところの骨盤や姿勢の矯正に近い意味合いがあります。
センター摩耗とは、タイヤの中心部分が早期に摩耗する状況です。原因として、タイヤの空気を過剰に入れてしまった状態の時に起こる可能性があります。
そのため、ドア付近に記されている適正な空気圧に調整することがポイントです。
ショルダー摩耗とは、タイヤの両サイド側がすり減る状況です。原因は空気圧の低下から起こります。
こちらもセンター摩耗と同様、適正な空気圧に設定しておくことで回避できます。
2:キズやヒビ
タイヤはゴム製品であるため、年数経過による劣化が進みやすいパーツです。そのため、ゴムの劣化からタイヤにひび割れを起こすこともあります。
特に年数は経過していなくても、日々の使用頻度が少なく駐車していることが多い車は同じところに力がかかってしまい、それほど年数が経っていなくてもタイヤにひび割れを起こす可能性があります。そのため、日々定期的に使用している車に比べてゴムが劣化しやすく、注意が必要です。
もし、タイヤの側面にキズやヒビを発見したら、進行状態をチェックしておくと良いでしょう。ひび割れが発生するとタイヤ自体の耐久性が低くなり、バーストの危険性が高まります。
このような状況であれば、早期にタイヤを交換することをおすすめします。
3:空気圧
空気圧が低下していても車検が通らないことは殆どありません。しかし、先程もお伝えした通りタイヤのコンディションが悪くなってしまうのは事実です。
タイヤの大きさや車の種類によって適正な空気圧が変化しますので、チェックをしてから行うことが大切です。特に遠出する場合には、ガソリンスタンド等で事前に適正な状態になっているか確認してから走行すると良いでしょう。
スタッドレスタイヤで車検を通す時の注意点
雪が降っている時期が車検時期の場合、スタッドレスタイヤを装着して車検を通すことがあるかもしれません。車検では、スタッドレスタイヤでも通常時に使用するタイヤと同様にチェックされます。
それでは、スタッドレスタイヤで車検を通す際の注意点はどのようなことがあるのでしょう。次から注意する項目について詳しく解説していきます。
1:スタッドレスタイヤの溝
スタッドレスタイヤの溝の深さは、1.6mm以上と法律で定められています。これは、夏タイヤと同様です。
タイヤの溝の深さを確認する際は、スリップサインを参照すれば分かるようになっています。その基準以上の溝の深さがあれば、車検を通すことが可能です。
2:スタッドレスタイヤのプラットフォームとは?
スタッドレスタイヤには、プラットフォームと呼ばれる印がついています。スタッドレスタイヤがすり減って溝の深さが半分以上になると、氷雪路の走行において性能が低下してしまいます。
プラットフォームが露出している状態は、タイヤの溝の深さが半分以上になったことを意味するため、冬タイヤとして使用することができません。アイスバーンを走行する時に路面に食いつきにくくなってしまいますので、プラットフォームが露出したままだと危険な状況で運転することになります。
プラットフォームの印は側面に記載されているので、スリップサインと同様、定期的に確認しておきましょう。
3:スタッドレスタイヤの使用期限
スタッドレスタイヤの性能は、ゴムの柔軟性がポイントになります。ゴム製品は、年数の経過とともに劣化が進んでいきます。
ゴムは劣化すると硬くなる性質がありますので、雪道での走行で路面を捉える性能が低下してしまう点に注意しなければなりません。そのため、タイヤの溝の深さが十分に余裕があるケースでも、新品のスタッドレスタイヤから3~4シーズンを経過した状態であれば、ゴムが硬化していることが多いです。
3~4シーズン使っているのであれば、安全のためにタイヤ交換を検討することをおすすめします。
4:夏にスタッドレスタイヤで走行する場合の注意点
夏でもスタッドレスタイヤで走行することは可能です。しかし、気をつけなければいけないことがあります。
それは、夏タイヤに比べて運動性能が劣ってしまう点です。実際にタイヤに触ってみると分かりますが、スタッドレスタイヤは夏タイヤよりも柔らかさを感じます。
タイヤが柔らかい分車両重量を抑えておく力が低くなることで、ブレーキングの際の踏ん張りが効かず、制動距離が長くなってしまうのです。さらに、路面が濡れている雨天時の高速走行はハイドロプレーニング現象を引き起こしやすくなります。
夏タイヤよりも安全性に不安が伴いますので、十分注意して走行することが大切です。
タイヤを長持ちさせる方法とは?
タイヤを長持ちさせるためには様々な方法があります。車重のかかり方によって、摩耗の度合いも異なってきます。
運転の方法やメンテナンスを意識するだけで、タイヤを長持ちさせることが可能です。次からはタイヤを長期的に利用するためのポイントを5つ、詳しく解説していきます。
1:タイヤローテーション
タイヤローテーションとは、前後左右のタイヤを入れ替えることです。偏摩耗が酷くならないようにする対処方法です。
例えば、FF車(前方にエンジンがありフロントタイヤが駆動する車)であれば、前輪のタイヤに負担がかかってしまいます。そのため、比較的負担が少ない後輪のタイヤと定期的にタイヤローテーションを行うことで、前輪だけがすり減ることなく使用できます。
したがって、タイヤローテーションを実施することで偏摩耗の軽減に繋がり、タイヤを長持ちさせることが可能です。
2:タイヤの空気圧を適正に保つ
タイヤの空気圧については先程もお伝えしている通り、とても重要です。定期的に空気圧の点検をして、不足している時には補充を行うようにしましょう。
空気圧を補充することで摩耗やバーストを未然に防ぐことができ、タイヤ本来の性能を発揮しやすくなります。給油をする際、ガソリンスタンドに置いてある空気入れなどを利用して、チェックすることをおすすめします。
3:急がつく運転を極力行わない
タイヤに負担のかかる運転は、以下のケースが考えられます。
・急ブレーキ
・急発進
・急ハンドル
・スピード超過
車で走行する際に意識して運転するだけで、タイヤを長持ちさせることが可能です。特に急発進を繰り返すと、駆動するタイヤの負担が多くなり摩耗を早めてしまう場合が多いので、信号待ちからの急発進は避けることが賢明です。
4:ホイールアライメントの確認
ホイールアライメントとは、車軸を適正な角度に調整することです。タイヤの空気圧や運転に問題がないのにも関わらず、特定の箇所だけ偏摩耗する状態であれば、ホイールアライメントがずれている可能性が高いです。
アライメント調整はキャンバー角・キャスター角・トー角の3種類があり、角度を変えることで走行性能を高める働きがあります。しかし一般的に公道を走行するのであれば、極端な調整はタイヤの寿命を短くしてしまうことになります。
なお、ホイールアライメント調整については自力で行うことは難しいため、カー用品店やディーラーに依頼する必要があります。費用と時間がかかりますので、事前に問い合わせておくと良いでしょう。
5:タイヤの保管場所に気をつける
降雪地域で車を運転する場合、使用していないタイヤの保管方法にもポイントがあります。
・直射日光が当たる場所に置かない
・雨風を避ける保管場所にする
タイヤを日光に当て続けると紫外線を受けることになりますので、タイヤの劣化が進みます。タイヤを保管する際は、風通しの良い車庫や室内の保管が良いでしょう。
また、防水性や遮光性を備えたタイヤカバーを使用することで、埃や結露を避けることも可能となり、さらにタイヤの劣化も抑えることができます。
車に合った夏タイヤの種類と選び方
車のタイヤは路面状況や使用方法、所有者のニーズによっても多種多様に選べるようになってきています。また、タイヤの種類によって、異なる効果を得ることが可能です。
ただし、種類についてはあまり知らないという方も多いかもしれません。ここからは、夏タイヤの性能と種類について、詳しくお伝えしていきます。
自分の車の状況も加味して、タイヤを選択する際にお役立てください。
コンフォートタイヤ
コンフォートタイヤは、快適さを重視したタイヤです。長時間運転しても疲れを感じにくく、乗り心地や静粛性、耐久性なども兼ね備えています。バランスが良い標準的なタイヤで、使い勝手も抜群です。
プレミアムタイヤ
プレミアムタイヤは、コンフォートタイヤの性能を向上させたタイヤです。値段は高くなりますが、静粛性やグリップ性能を高めることで、より良い乗り心地を実現しています。高級車だけでなく、コンパクトカーや軽自動車用も発売されています。
スポーツタイヤ
スポーツタイヤは、走りに特化した性能をもつタイヤです。タイヤの接地面積を広くすることで強靭なグリップ力を得ることができ、直進性やコーナーでの安定性を確保することができます。しかし、燃費や静粛性、乗り心地はあまり良くないのが難点です。
SUV用タイヤ
SUV用タイヤは、大きく分けると3種類に分類できます。
ハイウェイテレーン:街中で運転することに適したタイヤで、ふらつきを抑え安定した走りを可能にしています。
オールテレーン:山道も走行可能であり、街中も快適に走行できるタイプのタイヤです。
マットテレーン:悪路をしっかり走行できるタイプで、競技用としても使用されるタイヤです。クッション性とグリップ力に優れており、川の中や岩の上でも運転できます。
ミニバン用タイヤ
ミニバン用タイヤは、インとアウトの形状や硬さに差をつけた左右非対称のタイヤです。ミニバンは、車高が高く左右にふらつきが出てしまうため、外側部分に負荷が大きくかかってしまいます。
それを解消するために、ミニバン用タイヤが開発されています。一般的なタイヤは左右対称になっているため、どこに装着しても問題ありません。
しかし、ミニバン用タイヤはタイヤの内側と外側で溝のパターンを変えたり材質を変えたりしているため、装着位置が決まっています。間違えると走行性能が低下する恐れがありますので、気をつけましょう。
まとめ
1.タイヤの溝が1.6㎜以上ないと車検を通すことができない
2.保安基準以下で公道を走行すると罰則規定がある
3.タイヤの溝以外にも、極端な偏摩耗やキズ・ヒビが入っていると車検が通らない恐れがある
4.スタッドレスタイヤも1.6mm以上あれば車検を通すことが可能
5.タイヤを長持ちさせるには、タイヤローテーション、空気圧、ホイールアライメント、保管場所、急のつく運転をしない、などに気を付けるとよい
6.車に合ったタイヤを選び、安全走行できるようにすると良い