パーツ取付・交換
更新日:2025.08.27 / 掲載日:2018.08.29
ハブベアリングの交換時期と費用|異音の原因と対処法も解説

走行中に「ゴーッ」「ゴロゴロ」といった異音が聞こえる場合、ハブベアリングが劣化している恐れがあります。放置すれば最悪の場合、走行不能になることもあるため注意が必要です。
この記事では、ハブベアリングの役割や異音の特徴、交換時期の目安に加えて、交換費用の相場などについてプロの整備士がわかりやすく解説します。
ディーラー・整備工場・カー用品店などの特徴やDIY時の注意点も紹介しているので、修理や点検を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
1. ハブベアリングとは

車の足回りには、走行時に連動する多くの部品があります。そのなかでも、見えにくい場所で走行を支えているのが「ハブベアリング」です。
普段あまり意識されることはありませんが、不具合が起きると異音や操縦不良につながるため、仕組みと重要性を知っておくことが大切です。
ここでは、ハブベアリングがどんな部品なのか、安全性との関係を含めて見ていきましょう。
(1) ハブベアリングとは
ハブベアリングは、タイヤの回転による摩擦を減らすために使われるベアリングの一種です。
「ハブ」と呼ばれるホイール取り付け部に組み込まれており、タイヤと一緒に回転します。
多くの車で、前後4輪すべてに装着されており、走行中の安定性や静粛性に大きく関わる消耗部品です。
(2) どこに使われている部品か
ハブベアリングは、ホイールと車体の間にある「ハブ」と「ナックル」の接合部に取り付けられています。
ホイールを支えるボルトが出ている「ハブ」に内蔵されており、ボール状のベアリングが摩擦を抑えながら回転をサポートします。
また、駆動輪ではドライブシャフトを支える役目も果たします。
2. 異音や不具合を放置した場合のリスク
ハブベアリングは消耗部品のひとつで、摩耗や劣化が進むと異音や振動といった不具合が現れます。
ただし、不具合が出てもすぐに走行不能になるわけではないため、「まだ走れる」と判断して放置してしまうケースも少なくありません。
しかし、その判断が思わぬトラブルや出費につながる可能性があります。ここでは、放置によって起こり得る具体的なリスクを見ていきましょう。
(1) 放置した場合のリスク
異常を放置したまま走行を続けると、ベアリング内部のグリースが劣化し、摩擦が増えて焼き付きの原因になります。
焼き付きが進行すると、ベアリングがロックしてホイールが正常に回らなくなり、最終的には走行不能になる恐れもあります。走行中にこの状態になれば、ハンドル操作が効かなくなるため危険です。
また、ベアリングの破損は、走行抵抗の増加を招き、燃費の悪化にもつながります。
(2) 他部品への影響
ガタつきや異常振動が続くと、ハブベアリングだけでなく、周囲の部品にも悪影響が及びます。
具体的には、ホイールを支える「ハブ」が歪んだり、サスペンションやドライブシャフトに余分な力がかかったりし、部品の劣化が早まる原因になります。
さらに、グリースが漏れたままの状態になると、ベアリング内部にゴミや水分が入り込み、摩耗の進行が一気に加速してしまうのです。
放置すれば修理が必要な範囲が広がり、整備費用の負担も大きくなってしまうでしょう。
3. ハブベアリングの故障時に現れる初期症状

ハブベアリングはひんぱんに壊れる部品ではありませんが、長期間の使用により摩耗や劣化が進むと、徐々に異常が現れてきます。
ただ、異常は突然発生するわけではなく、多くの場合、「異音」や「走行時の違和感」といった前兆をともないます。
ここでは、故障のサインとして現れやすい初期症状を紹介しましょう。
(1) ゴー・ゴロゴロといった異音がする
ハブベアリングが摩耗すると、「ゴー」や「ゴロゴロ」といった低い音が走行中に聞こえるようになります。これは内部のグリースが劣化したり、金属球がすり減ったりすることで回転がスムーズでなくなるためです。
とくに加速時や上り坂などの高負荷時に音が大きくなりやすく、窓を開けると確認しやすくなります。また、カーブや右左折の際に音の質が変わる場合は、前輪のハブベアリングが原因の可能性が高いといえるでしょう。
(2) ハンドル操作時の違和感や異音
ハンドルを切ったときに「ゴトゴト」や「ガタガタ」といった音がする場合、ハブベアリングの不具合が疑われます。ステアリング操作時に引っかかるような感覚がある場合も、摩耗が進んでいるサインです。
これらの症状は、ハブベアリングの初期症状としてよく見られるものですが、同様の異音はドライブシャフトなどほかの部品の不具合でも起こることがあります。
原因を正確に判断するには、整備工場での点検をおすすめします。
(3) タイヤのガタつきや振動がある
ジャッキアップしてタイヤを回転方向に動かしたときにガタつきがある場合、ハブベアリングの劣化が進行している可能性があります。初期段階の場合、タイヤを装着している状態ではわかりにくく、タイヤを外してハブを直接回すとガタつきが感じられることがあります。
そのまま走行し続けると、振動によって直進安定性が損なわれ、最悪の場合タイヤの脱落にもつながりかねません。
走行中に揺れやフラつきが気になる場合は、早めに点検を受けることが重要です。
4. ハブベアリングの寿命と交換目安
ハブベアリングはひんぱんに交換が必要な部品ではありませんが、経年や使用状況によって確実に劣化が進みます。
とくに異音や違和感が現れる前に点検や交換ができれば、余計なトラブルや出費を回避できます。
それでは、寿命の目安や使い方による差、交換タイミングの判断基準を解説しましょう。
(1) 一般的な寿命と耐用距離
ハブベアリングの一般的な寿命は、走行距離でおおよそ10万km前後とされています。
ただし、あくまで目安であり、日常的な走行条件が穏やかな場合はさらに長く使えることもあります。
(2) 車種や使い方でどう変わるか
ハブベアリングの寿命は、車種やカスタムの有無、使用環境によって大きく左右されます。
とくに以下のような条件に当てはまる場合、ベアリングにかかる負荷が増えて、劣化が早まります。
次の表に、主な条件と寿命への影響をまとめました。
条件 | 寿命への影響 |
---|---|
軽自動車・コンパクトカー | ベアリングのサイズが小さいため、摩耗が早くなる |
FF車(前輪駆動車) | 駆動力と舵取りの両方を担う前輪に負荷が集中し、前側のベアリングが摩耗しやすい |
ローダウン車 | 車高を下げるとドライブシャフトの角度が変化し、ベアリングに余計な負荷がかかる |
大径ホイール・ワイドタイヤ装着車 | ホイールの重量増加により足回りへの負荷が増し、早期摩耗する |
スペーサー装着車 | ハブからの距離が変わることで横方向の力が増え、ベアリングに無理な負荷がかかる |
スポーツ走行・高回転の多用 | 高負荷や高熱によってグリースが劣化しやすく、寿命を大きく縮める原因になる |
悪路走行(トラック・工事車両など) | 振動や衝撃がひんぱんに加わるため、ベアリングの消耗が早く進行する |
上記のような条件に該当する車両では、通常よりも早めの点検や交換が必要になるケースが多く見られます。安全性を保つためにも、定期的なチェックを心がけましょう。
(3) 交換時期の目安と点検のすすめ
ハブベアリングの交換時期は、一般的に走行距離10万km前後がひとつの目安とされています。
しかし、距離にかかわらず異音や振動、ハンドル操作時の違和感などの初期症状が出ている場合は、できるだけ早く点検を受けることが重要です。
とくに、以下のようなケースに当てはまる人は注意が必要です。
・中古車を購入したばかりで整備履歴が不明な場合
・長距離走行が多く、使用頻度が高い場合
・足まわりにカスタムを加えている場合
さらに、ハブベアリングは外観から劣化状態を判断するのが難しい部品です。そのため、異変に気づいた際は自己判断に頼らず、整備工場などの専門家に相談するのが安心です。
重大なトラブルを防ぐには、定期的な点検と早めの対応が欠かせません。
5. ハブベアリングの交換費用の相場

ハブベアリングの交換費用は、依頼する業者によって大きく異なります。安さだけで選ぶと、技術面や対応の質に差が出ることもあるため、無駄な出費を防ぎつつ、安心して交換できる方法を知っておきましょう。
それでは、業者別の費用感やサービスの違い、自力交換のリスクなどを解説します。
(1) ディーラー・整備工場・カー用品店・タイヤ専門店の費用比較
ハブベアリングの交換は、ディーラーや整備工場、カー用品店・タイヤ専門店などで対応してもらえます。それぞれの特徴と費用の傾向をまとめました。
① ディーラー
メーカー純正部品を使った確実な作業が魅力です。車種に精通した整備士が対応するため、安心感は抜群。
ただし、部品代・工賃ともに高めで、一輪あたり15,000~30,000円が目安です。保証期間中であれば無償対応になるケースもあるため、まずは相談してみましょう。
② 整備工場
費用をおさえたいなら、お近くの整備工場が有力な選択肢です。
汎用品を使えば部品代が安くなることが多く、工賃込みで一輪あたり15,000〜20,000円程度が相場。柔軟な対応や修理優先での提案も期待できます。
ただし、店舗ごとに技術力や対応の差があるため、信頼できる工場選びが重要です。
③ カー用品店・タイヤ専門店
ハブベアリングの交換は、一部のカー用品店やタイヤ専門店でも対応しています。
カー用品店では、オイル交換やバッテリー交換などのついでに相談できる手軽さがあり、利用しやすいのが特徴です。タイヤ専門店では、足まわりの整備に特化した知識や設備を備えている店舗もあり、タイヤ交換とあわせて対応してもらえるケースがあります。
ただし、どちらも対応の可否や技術レベルは店舗によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
(2) 部品代と工賃の内訳
ハブベアリングの交換費用は「部品代」と「工賃」で構成されており、作業内容によって金額が大きく変わります。
部品代はおおよそ5,000〜8,000円が目安ですが、作業が複雑なため、工賃の割合が高くなりがちです。
また、車種によってはベアリング単体での交換ができず、「ハブアッセンブリー」全体を交換する必要があります。この場合、部品代だけで数万円に上り、総額で10万円近くかかることもあります。
異音や振動を放置すると、周辺部品まで損傷し、修理費用がさらに膨らむ恐れがあるでしょう。
(3) 自分で交換はできる?リスクと注意点
ハブベアリングは足回りの重要部品であり、安全性に直結するため、DIYでの交換はおすすめできません。
まず、圧入や取り付けには油圧プレスなどの専用工具が必要です。また、締め付けトルクの管理やグリースの扱いなど、車種ごとの正確な知識も求められます。
これらを誤ると、走行中に異音やブレが発生したり、最悪の場合ホイールが外れたりするなどの事故につながる恐れがあるのです。
「費用を節約したい」「自分でやってみたい」と考える人もいますが、安全性と信頼性を重視するなら、整備工場やディーラーに依頼するのが確実です。異常を感じた時点で、無理をせずプロに相談しましょう。
6. お車のトラブルはグーネットピットにご相談ください
ハブベアリングの不具合は、走行性能や安全性に関わる大切なポイントです。異音や振動、ハンドルのふらつきなどをそのままにしておくと、修理範囲が広がり、費用もかさんでしまう恐れがあります。
とはいえ、ハブベアリングの劣化は見た目では判断しにくいため、走行距離や使用年数にかかわらず、定期的な点検が安心につながります。
「最近ちょっと音が気になる」「ハンドル操作が前より不安定かも」と感じたら、劣化が進んでいるサインかもしれません。気になる症状がある場合は、無理せず整備工場に相談してみましょう。
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